ミャンマー地震から1年 仏教遺跡の町、手作業でゆっくり修復
世界有数の仏教遺跡の町、ミャンマー中部バガンを昨年8月24日にマグニチュード(M)6.8の地震が襲って約1年。爪痕は依然として残り、手作業の遺跡修復はゆっくりとしたペースで進む。それでも素晴らしい景色を楽しむ観光客の足が戻っており、ミャンマー政府は世界遺産登録を近く再申請する方針だ。
主に11~13世紀に建立された3000以上の寺院や仏塔が集中するバガンは、カンボジアのアンコールワット、インドネシアのボロブドゥールと並び「世界三大仏教遺跡」の一つとも称される。地震で周辺地域を含め3人が死亡、800近くの仏教遺跡が何らかの損害を受けた。尖塔(せんとう)部分が崩落するなどした約390カ所の修復が必要とされる。
ミャンマー政府はこのうち89カ所を重点修復施設に指定。国連教育科学文化機関(ユネスコ)のほか、中国やインド、イタリア、ドイツなどが修復作業を支援している。日本も国際協力機構(JICA)が地域の整備などを援助している。
最も深刻な被害を受けた遺跡の一つ、スラマニ寺院。尖塔部分が崩落し、大量のれんがが散乱したままだ。今年4月から政府発注の修復作業が始まったが、作業員が寺院内部で集めたがれきを袋に詰め、滑車で地上に降ろすなど、全て手作業だ。作業員のティン・ラーさんは「20人以上で作業しているが、このペースではいつ終わるか、全く分からない」とがれきの山に目をやる。
しかし、バガンを訪れる観光客数は今年1~3月期に前年比20%近く増加した。遺跡群の背後に沈む夕日を眺めるため、急な階段を上って仏塔上部に集まっていた数百人の観光客の一人、フランス人のアランさんは「ここからの眺めは素晴らしい。世界でもこれに並ぶものはそんなにないんじゃないか」と感嘆する。
バガンでは1975年の地震でも大きな被害が出た。軍事政権は90年代に大がかりな修復をしたが、遺跡関係者によると工事では大量のセメントを使用、建立当時の建材を用いる遺跡修復の常道を外れていた。96年、当時の軍政がバガンの世界遺産登録を申請したが認められなかった大きな原因の一つとされる。現在の修復工事はユネスコの助言を取り入れて行われている。(バガン 共同)
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