中国の「電子ごみ」1164万トン 急速な増加スピードに処理が追いつかず

提供:中国新聞
廃棄された電気・電子機器から電子部品を取り出して仕分ける作業(中国新聞社)

 ■環境保護意識向上へ法規整備が課題

 今年、中国の「電子ごみ」が1164万トンに達する見通しだ。パソコンや携帯電話、家電製品などの廃棄物で、「廃電気・電子機器」とも呼ばれる電子ごみ。レアメタルなど貴重な資源が含まれることから“都市鉱山”として再利用が期待される一方、処理を誤れば人体や環境に害をなす環境汚染源となる危険性もはらむ。消費の高度化や電気・電子機器の世代交代の加速に伴いその数は急速に増加しているが、問題はその増加スピードに回収や処理システムの整備が追いついていない点だ。

 研究によると、今年中国の管理目録に入っている14カテゴリーの電子製品の廃棄量は約1164万トンとなる見込みで、その中でテレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、パソコンの5品目が78%を占めるとされている。

 非正規回収は85.86%

 中国には電子ごみの回収・処理ルートが多数存在するが、その中で最も一般的なのが非正規の個人事業者を経由するルート。個人の回収業者が消費者から直接、電気・電子機器を買い取り、そのうちまだ使用可能なものを中古市場に、そうでないものを個人経営の分解・精錬業者に売りさばく。分解・精錬業者は電子ごみの中から値打ちのある物質を抽出・転売し、残った部分はそのまま処分される。

 中国家電研究院の調査結果を見てみると、こうした個人事業者経由の回収は2015年時点で全体の85.86%に上る。電子ごみの大半が個人事業者に流れてしまい、一定規模以上の正規の企業には電子ごみが集まらない状況だ。また、清華大学環境学院の李金恵教授によると「現在中国には正規のリサイクル企業が109社あるにもかかわらず、15年、これら企業で適切に処理された電子ごみは全体の4割にも満たない」という。電子ごみの処理も、半分以上が非正規の零細企業や個人が運営する闇工場で行われているのが実態だ。

 一方、非正規の零細企業や闇工場に、構造が複雑で種類も多い電気・電子機器を適切に処理するだけの能力はない。このことは環境汚染や健康被害の進行、さらには有用な資源の流出を意味する。中国物資再生協会の劉強曽常務副会長は「中国では電子ごみのリサイクルシステムが整備されておらず、国民の環境保護に対する意識も低い」として、リサイクルシステムの構築と同時に、国民の意識向上を促す宣伝や教育を強化し、相乗効果を図らねばならないと主張する。

 縦割りで責任者不在

 とはいえ、秩序だった電子ごみのリサイクルシステム構築や国民の意識向上には、まず関連法規の整備が必要だ。特に価値の低いリサイクル対象品目については回収を促すような管理システムが構築されておらず、関連する法規も整備が進んでいない。

 行政がリサイクル資源の管理条例を公布しても、複数の関連部門が縦割りで管理するため管理の主体がはっきりせず、効果的な取り締まりができていないうえ、個々のリサイクル品目に対する個別の法規も不十分、というのが現状だ。

 こうした状況を受け、政府も動き始めた。「循環経済促進法」の改正が第12期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の立法計画に組み込まれた。全人代環境資源保護委員会法案室の穆治霖処長によると、その改正の重点となっているのが、電子ごみを含む資源のリサイクルシステム構築だという。もちろん、システムを構築しても電子ごみが正規のリサイクル業者の手に渡らなければ意味はない。最終的に重要となってくるのは、やはり国民の環境保護意識だ。

 北京天龍天天潔再生資源回収利用の劉権総経理は「電子ごみ問題の解決は、消費者一人一人の行動にかかっている」と話す。中国の電子ごみへの取り組みはまだ始まったばかりだ。(経済日報=中国新聞社)