東京五輪公約 「技術の祭典」に不可欠

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衆院選候補者の街頭演説を聞く有権者ら=15日、東京都台東区

 いよいよ、衆院選も22日の投開票に向けて、終盤にさしかかった。連立与党が優位に立つ中、最大野党の民進党を割った希望の党は勢いを失速、「反安倍」票の受け皿は立憲民主党だとの情勢分析が流れている。

 街角では、政策よりも党名、候補者名の連呼が耳に響く。やはり公約は、独自に新聞などで読み比べるもののようだ。

 ◆「票にならない」

 スポーツは票にならないという。公約にも大きく取り上げられることは、まずない。今回も同様だが、2020年東京オリンピック開幕まで、今月28日で「あと1000日」。開催直近の総選挙で、オリンピック、パラリンピックの言及がないのも寂しい。

 開催都市、東京都の小池百合子知事率いる希望の党は、「ユニバーサルデザイン、バリアフリーを徹底した都市づくりを推進する」「開催国として国際標準の『受動喫煙ゼロ』規制を実施する」を公約に掲げる。取り立てて目立つ政策ではなく、しかも言及はこれだけ。もう少し突っ込んだ提言があっても良かったように思う。

 立憲民主党の公約には言及が見当たらず、両党が、にわかづくりに急発進した事実を改めて教えてくれた。

 共産党は批判的な立場から、人口減少社会での東京への一極集中を危惧、「地域間格差を拡大させることになり、日本の国土を荒廃させる道」と説く。しかし、開催に向けて動いている以上は、何か、解決に向けた手立てを示してほしい。いまさら中止、返上でもあるまい。

 一方、自民党は「経済再生」の公約として、東京オリンピック・パラリンピックに一項目を割いた。ただ、「復興五輪」の世界発信と全国的な国際交流の展開、「パラリンピックのレガシーとして」のバリアフリー化やユニバーサルデザイン社会の創出などは、大会組織委員会のアクションプランであり、「スポーツ産業の育成」や「国際競技力の向上」はスポーツ庁の掲げる指針に基づく。すでに、どこかで聞いた話ではあろう。

 わずかに、「自動走行や水素社会など最先端の科学技術」の世界発信や「サイバーセキュリティーをしっかり組み込んだ安全で品質の高いICT(情報通信技術)サービス」の実現が目を引く。しかし、これとて、総務省が公表している施策に重なる。

 いや、与党として、これら政策に深く関わってきたから公約に取り上げたのだろう。それならば、予算化、法整備を含め、実現に邁進(まいしん)してもらいたい。

 オリンピック、パラリンピックは開催国の技術の水準を示す「モデルルーム」であり、「ショーケース」である。

 かつて、1964年東京大会は東海道新幹線の実現を促し、鉄道輸送に革命をもたらした。放送技術の進歩はその後のテレビ社会をつくり出し、計測技術の速さと正確さは「メード・イン・ジャパン」を世界に売り込むきっかけともなった。今日の、日本の世界における存在感を示す原点だといってもいい。

 2012年ロンドン大会は別名「ソーシャリンピック」と呼ばれ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)社会拡大の基盤を築いた。14年ソチ冬季大会はネットワーク仮想化やBYOD(私的デバイスの活用)に大きく道を開いた。さらに、16年リオデジャネイロ大会では空港や市内の交通管制システムにICTが活用された。

 半年を切った18年平昌冬季大会では、5世代(5G)移動通信技術を導入するとともに、4K、8K放送の実験も行う。

 ◆IoTの進化予測も

 20年東京は、あらゆるモノがインターネットにつながる「モノのインターネット(IoT)」による進化が著しい大会になるとの予測がある。モノが人工知能(AI)と接続して端末でそれらを操作する。自動車も家電も、出入国管理や翻訳など、あらゆることに関わるインターネット技術。その出発点とする構想が今、練られている。そのための環境整備を急がなければならない。

 オリンピック、パラリンピック開催後、確実に、景気は落ちる。公共投資がなくなる分、それは必然である。一方で、新たな取り組みが、その後の日本を変えていくだろう。

 「ビヨンド2020」。真剣に考えるためにも、公約に掲げ政策を語ってほしかった。(産経新聞特別記者 佐野慎輔)