東京五輪サイバー対策 重要インフラ守る対応訓練 官民一体で防衛力底上げ
東京五輪・パラリンピックの期間中は、電力や交通、行政機関などがサイバー攻撃の標的になることが懸念されている。こうした「重要インフラ」に被害が出れば、大会そのものに影響を及ぼすだけでなく、世界からの観光客を巻き込む大きな混乱につながりかねない。官民一体の対策が始まっている。
「今ある情報を基にどう対処すべきか考えてください」。9月15日、東京・品川駅近くの会議室で、都内や神奈川県内の自治体職員ら約30人が参加して、サイバー攻撃の対応訓練が始まった。
組織のネットワークで「不正な通信」を検知したというシナリオ。ウイルスを送り込まれた可能性がある。「通信元の遮断が先決だ」「ウイルスが消えてしまうから、調査のためにはパソコンの電源は落とさないほうがいい」。3~4人に分かれたチームが議論をしながら、ウイルス感染端末の特定や証拠保全といった一連の動作を丸1日かけて学ぶ。
国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)はこういった自治体職員向けサイバー訓練を、2017年度に全国で計3000人に実施する予定だ。日本全体のサイバー防衛力を底上げする狙いがある。
参加した東京都豊島区の秋山直樹情報管理課長は「脅威は常に感じている。五輪の開催都市は狙われると聞いているので今後攻撃が増えてくるだろう」と警戒する。
12年のロンドン五輪では電力を攻撃するという情報が流れ、手動のシステムに切り替えてしのいだ。五輪絡みではないが、ウクライナではサイバー攻撃による大規模停電が起きた。
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)はインフラ企業などの重要サービス事業者として20分野を指定。リスクの洗い出しや情報共有態勢の構築を進めている。雲田陽一企画官は「政府にできることは少ない。事業者や国民一人一人がセキュリティー意識を高めることが必要だ」と話している。
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