NGB、インド発のAI特許ツールを検証
生かせ!知財ビジネス知的財産権コンサルティングの国内最大手、日本技術貿易(NGB、東京都港区)は、インドで起業し、米ワシントンに本部を置く特許ソリューション企業「Xlpat Labs」(エクセルパット・ラボ)が開発した人工知能(AI)を使った特許調査・分析ツール「Xlpat」の機能を検証している。AI技術が知財実務にどこまで利用可能かを確認しており、注目されている。
Xlpat Labsは、インドの特許調査会社、TTコンサルタンツ(チャンディガール)のスピンオフ企業だ。技術力には各国企業が着目し、NGBも2015年以降、製品の改善や新機能追加で助言を続けている。ただ、NGBとの間に販売代理などの契約はなく、今回の機能検証はまったく中立的な視点で行われている。
Xlpatの機能検証は、他社の登録特許を潰す際に行う「無効資料調査」や自社製品に搭載した技術が他社の特許を侵害していないかを確かめる「侵害防止調査」、特定の特許群の発明をどのような概念で分けられるかを整理する「技術分類」などの業務で行われている。
例えば、無効資料調査では無効化したい特許の番号を入れると自動的に関連性の高い特許を抽出する「自動無効資料調査機能」を検証している。ある特許無効化手続きで実際に使われた引例数(131件)を同機能で調べると、上位100位内に12件、25位内に4件を検索できた。NGBでは「人手をすぐ代替できるとは言い難いが、関連性の高い文献を短時間で収集できることは調査方針策定の大きな参考になる」と補完的活用を示唆している。
技術分類ではXlpatの自動分類機能の精度を検証。自動車関連の米国特許公報344件を「車線維持支援(LKA)」と「クルーズコントロール(CC)」という項目で自動分類し、人による分類と比べたところ、再現率(見落とさない割合)はLKA73.3%、CC67.0%、適合率はLKA57.8%、CC50.6%だった。NGBは「一定の水準にはある」とみる。
AI技術を使えば、膨大な情報を短時間で検索、解析できる。人並みに精度が高まれば、特許調査部門の人員と業務時間をほかの業務へシフトできる可能性がある。AI特許ツールの今後の進化が注目される。(知財情報&戦略システム 中岡浩)
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