「小田原かまぼこ」どちらも名乗れる? 小田原市の組合VS南足柄市の業者 24日に判決

 

 正月商戦を控える中、おせち料理に欠かせないかまぼこの名称使用権をめぐる訴訟の判決が24日、横浜地裁小田原支部(栗原洋三裁判長)で言い渡される。「小田原かまぼこ」の地域団体商標を保有する神奈川県小田原市の製造組合が、隣接市の業者が商標を無断で使用したとして、製品の販売差し止めと約4930万円の損害賠償などを求めた訴訟。組合側は「小田原ブランドを守ってきたのは組合だ」とし、業者側は「地域団体商標の登録前から名称を使っていた」と主張、言い分は真っ向から対立している。

 訴訟を起こしたのは小田原市の製造業者13社で作る小田原蒲鉾協同組合。訴状などによると、平成22年に「小田原かまぼこ」「小田原蒲鉾」の地域団体商標を出願し、23年に登録された。訴えられた南足柄市の製造業者「佐藤修商店」と関連会社は、「小田原かまぼこ」「小田原蒲鉾」と表示したかまぼこを、東京都や大阪府などで13年ごろから販売しているという。

 商標法は、地域団体商標と同じ名称の商品であっても、商標出願前から使用している場合は「先使用権」があると認め、継続してその名称を使うことができるとしている。ただ、他人の利益を害するなど「不正競争」の目的がないことが要件だ。訴訟では佐藤修商店側に先使用権が認められるかが争点となっている。

 組合側は「小田原かまぼこ」の名称を使われると、「佐藤修商店の商品の原産地が小田原市だと誤認される」と指摘。「組合は明治中頃からさまざまな活動を経て、ブランドを守ってきた」とし、名称使用は「ブランドの信用に便乗する行為」で不正競争にあたり、先使用権は認められないとしている。組合員で技術研究会を行ったり、市内でかまぼこに関する観光イベントを企画したりしている点も強調した。

 一方、佐藤修商店側は「本社と小田原市境は約2キロしか離れていない。『小田原かまぼこ』は市内とその周辺で生産されたと理解すべきだ。他人の信用を利用する目的もない」と反論、先使用権があるとしている。(加藤園子)

■「鳴門」「喜多方」…過去に争奪戦

 地域団体商標は、地域名と商品・サービスの名称を組み合わせた文字商標を保護する制度で、平成18年にスタートした。従来の商標と異なり、「夕張メロン」のように全国的な地名度がなくても登録を受けられるが、同様の名称を使う団体同士の“争奪戦”も繰り返されてきた。

 徳島県漁業協同組合連合会が「鳴門わかめ」を商標登録した際は、鳴門海峡対岸の兵庫県漁連が特許庁に異議を申し立て、登録が取り消された。

 「喜多方ラーメン」の申請が認められなかった福島県の地元ラーメン店の組合は、審決の取り消しを求めて訴訟を提起。知財高裁は、すでに組合以外の店も使用しているとして、請求を棄却した。

 対立を乗り越えたケースもある。石川県の「九谷焼」は、職人系と商工系の複数の団体が連合会を設立し、登録にこぎ着けた。