超電導ケーブルは、送電線のコンパクト化と電力ロスの大幅減少が期待できる=29日、横浜市の東京電力旭変電所【拡大】
電気抵抗がほぼゼロになる「超電導」を利用したケーブルによる送電の実証試験が29日、横浜市鶴見区の東京電力旭変電所で、日本で初めて始まった。マイナス196度の液体窒素でケーブル内を冷やし高効率に送電することで、発電所から家庭までで1、2割失われる「送電ロス」が改善できる。東電は2020年の実用化を目指す。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が07年度から進めてきたもので、住友電気工業なども参加。7年間の総事業費は27億円。
ケーブルは3本の超電導の電線を断熱管で「魔法瓶」のように包み、中に液体窒素を冷却循環させる仕組み。送電ロスは、銅線による発熱損失の33分の1で、冷却用の電気を考慮しても半分で済むという。
同様の実験は米国や韓国も進めているが、日本のケーブルは「コンパクト性能で世界最高水準」(NEDO)。ケーブルの太さが3分の1程度になることで、共同溝などを新設せずに増大する都心部の電力需要に対応できるため「送電施設の更新コストが半減できる」(東電)という。