原子力規制委員会の田中俊一委員長は28日、東京電力の広瀬直己社長を呼び、福島第1原発で汚染水漏れをめぐるトラブルが相次いでいる問題で東電の管理体制をただした。田中委員長は被(ひ)曝(ばく)を防ぐなどの作業環境の改善を指摘した上で、「ドラスチック(抜本的)な改革を」と求めた。再稼働に向けた安全審査を申請済みの柏崎刈羽原発(新潟県)については触れなかった。
中立性を標(ひょう)榜(ぼう)する規制当局のトップが事業者と面談するのは異例。汚染水問題が深刻化していることから、規制委は23日の定例会で「直接社長から対応策を聞くことが不可欠」と判断していた。
面談は冒頭以外非公開で約1時間行われ、原子力規制庁の池田克彦長官が同席。田中委員長は「福島第1の現状が極めて憂慮すべき事態」とし、課題などを聞いた。広瀬社長は体制整備などを約束したという。
会談後に池田長官は記者団に対し、「多くの課題があるが、結果で示してもらいたい」と話した。柏崎刈羽原発については「審査を進めるとは言っていない。現在の状況を見ながら考えていきたい」と述べるにとどまった。
汚染水問題をめぐっては、東電が15日に作業員の増強や専門部署の創設などの対応策を記した報告書を規制委に提出。柏崎刈羽原発についても管理は万全としていたため、規制委は「2つの原発でまるっきり違う会社のようだ」と管理体制を疑問視していた。