--日本の大学教育の現状は
「日本の国力が落ちている原因の一つに高等教育力の低下がある。米国に外国人留学生が集まるのは高等教育力に優れているからだ。日本はグローバル戦略の一環として、2020年までに30万人の留学生受け入れを目標としているが、40万~50万人の外国人が日本を留学先の一つとして選ぶようにならなければいけない」
--そのために必要なことは
「大学で最も重要なことを聞くと、欧米の大学は70%が教育と答えるが、日本では研究が65%を占める。確かに研究開発に軸足をおく大学が多く、『教育中心で頑張る』と宣言できる大学が少ない。これでは日本で勉強したいという留学生は増えない」
--国際化とは
「立教大学が目指すのは、英語をただ話せるだけではなく、グローバルな課題と社会的要請に応えられる『専門性ある教養人』の育成だ。そのためにはリベラルアーツ(教養科目)教育が重要と考えている」
--どんな教育なのか
「卒業式で話している逸話だが、古代ギリシャ時代の医者、ヒポクラテスは弟子に『医者は病気だけでなく、病人も治す』と言った。まさに病人の心を開くコミュニケーション力とコンサルティング力を養うことこそが、リベラルアーツだ」
--国内の地方出身者に入学を呼び掛けている
「立教大生の75%が首都圏出身者。学生時代はローカルな交流があったほうがいい。言葉や習慣、考え方が違う異文化を認めあうことが重要だからだ。これは国際化でも同じ。グローバルの前にローカル。そこで首都圏以外の出身者を対象に『自由の学府奨学金』を新設した。地方の進学校に出向いて、説明している」
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【プロフィル】糸魚川順
いといがわ・じゅん 立教大経済卒。1964年日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。94年常務、2000年興銀リース副社長、04年第一生命保険顧問。07年から現職。北海道出身。