高円宮妃久子さまの実母の鳥取二三子さん(86)がフランスの最高勲章レジオン・ドヌール(オフィシエ)を受章し、27日、仏大使館公邸で授与式が行われた。鳥取さんは「フランス文化を伝えるのが、一族を代表した、私の生涯の使命だと思っています」と話している。
2020年東京五輪が決まったアルゼンチン・ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会(IOC)総会で、久子さまが国内外の人々を魅了されたスピーチは、記憶に新しい。その流麗なフランス語の基礎は、二三子さんが培った。幼少期は、二三子さんの歌うフランス語の童謡や童話を聞いて育ってこられたという。
「母国語のように親しんだフランス語を通じて、多くの方との縁ができたばかりか、勲章をいただけるとはうれしい限りです。ただ、あまりに高い位におろおろするばかりで…」。二三子さんは、謙遜気味に受章を喜ぶ。
フランスとの絆は、母方の祖父と父ら4世代にわたる。今回の授与は、こうした長きにわたる交流が評価された。
1927年、外交官で後に宮内庁式部官も務めた友田二郎氏の長女として生まれた。父の転勤に伴い、生後数カ月で仏マルセイユに渡り、フランス人の乳母に育てられながら幼少期を過ごした。
結婚後は夫である鳥取滋治郎氏の仕事の関係でパリに約5年間滞在した。
以来、フランス語の魅力に目覚め、帰国後は語学やフランス文化の振興に貢献した。フランス語圏の各分野で活躍する女性たちの親睦団体「フランス語婦人会」では、会長や役員を歴任。日仏友好の懸け橋となってきた。