【ロンドン=内藤泰朗】中東の砂漠を舞台に第一次大戦中の英軍情報将校の活躍を描いた英国映画「アラビアのロレンス」(1962年)の主演などで知られるアイルランド出身の俳優、ピーター・オトゥール氏が14日、ロンドン市内の病院で死去した。81歳だった。15日のBBC放送によると、オトゥール氏は長年にわたり闘病生活を送っていた。
オトゥール氏は英国で育ち、新聞社や英海軍勤務の一方、アマチュア劇団を経て舞台俳優となり、60年に銀幕デビュー。出世作となった「アラビアのロレンス」では、アラブ反乱軍を支援する英軍将校トーマス・ロレンス役を演じて世界的な人気を博した。
キャメロン英首相はツイッターで「お気に入りの映画『アラビアのロレンス』の演技は素晴らしかった」と述べたほか、アイルランドのヒギンズ大統領も「アイルランドと世界は、映画・演劇界の巨匠を失った」と死を悼んだ。
「チップス先生さようなら」(69年)、「スタントマン」(80年)などに出演。俳優人生で8回にわたりアカデミー賞の候補となったがいずれも受賞を逃し、2003年にアカデミー名誉賞を受賞した。