【視点】産経新聞正論調査室長・工藤均 防潮堤建設問題 (2/3ページ)

2014.1.21 05:00

 気仙沼市は世界三大漁場の三陸沖を抱え、漁業の拠点として機能し、加工業をはじめとする日本有数の水産業が栄えた。漁業関係者の割合も圧倒的に多い。カツオやメカジキ、サンマなどは日本トップクラスの漁獲高を誇ってきた。買い物客があふれ、豊かな自然を生かした観光業も発展した。すべてにつながるのは「海」。海を中心とした産業で成り立ってきた。そこから気仙沼市ならではの「浜の文化」が生まれた。

 震災から7カ月後の2011年10月、気仙沼市が策定した震災復興計画がある。市内外から募集したキャッチフレーズは「海と生きる」となった。その決定理由にすべての思いが込められているような気がした。

 「先人たちは何度も津波に襲われても、海の可能性を信じて再起を果たしてきた。…海を敵視せず、積極的に関わりあって暮らしてきた。それは単に『海で』生活していたのではなく、人間は自然の一部であることを経験的に体得し、対等の関係を築いて『海と』生活していたとも言える。その態度が自然観や運命観、ひいては死生観となった。気仙沼の観念は海にある。…」

 気仙沼市には震災後、度々足を運んだ。今でも交流を続けている飲食店経営の男性がいう。「ここでは、(防潮堤によって)海が見えなくなる、という環境はありえないのです」。海と住民が切り離されることは、気仙沼市の存在価値がなくなってしまうほどのことなのだ、という。

                   ■

 情緒的な話だけではない。高いコンクリート壁で海を覆うことで海辺の生態系が破壊され、津波からの避難が遅れる。工場などが立ち並ぶエリアなら防潮堤があっても、高くても構わないだろうが、海の近くという環境をベースに生計を立て、その景観で商売をしている場所も多いという。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

実践で使える英会話を習得!業界最高峰の講師がサポートします。毎日話せて月5000円《まずは無料体験へ》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

サンスポ予想王TV

競馬などギャンブルの予想情報を一手にまとめたサイト。充実のレース情報で、勝利馬券をゲットしましょう!