インターネット上で流通する仮想通貨「ビットコイン」。日本円や米ドルなど実際の通貨との交換ができることから投機対象にもなっているが、価格の乱高下が激しくリスクが高い。また、各国の中央銀行に縛られずコインをやり取りできることから犯罪に利用されるケースも出ている上に、取引名目で現金をだまし取るなどの被害なども出ている。
■中国マネー流入「実力以上に高騰」
ビットコインは仮想通貨だが、一定量以上の発行を制限し、通貨の安定性が確保されるような仕組みが取られている。2009年ごろの出現当初は注目を集めなかったが、欧州の金融危機などを経て自分の資産を守りたいと考える人が、実際の通貨をビットコインに交換しようという動きを始めた。
注目とともに価格は高騰し、投機対象にもなった。ネットの通貨などに詳しい日本総研の宮脇啓透(ひろゆき)研究員(41)は「中国マネーも流入し、実力以上に高騰している状況だ」と語る。
■「不測の事態起こること、理解を」
ただ、ビットコインは実際の通貨のように価値を保証する機関がなく、いったん信用を失えば、暴落のリスクはぬぐえない。
また、取引の匿名性が高いことから、違法薬物などの取引といった犯罪に使用されているほか、実際の通貨をだまし取る詐欺的な取引所や、他人のパソコンをウイルス感染させて不正にビットコインを取得しているサイバー犯罪者も存在すると指摘されている。
宮脇氏は、「実際の通貨やSuica(スイカ)などの電子マネーは、国や会社といった信用する発行主体がある。しかし、ビットコインにはそれがなく、暴落など不測の事態が起こり得るということを、十分に理解する必要がある」と語っている。