今大会の日本に待望のメダルをもたらしたのは10代の若き2人のスノーボーダーだった。中でも15歳の平野は、1998年長野五輪スピードスケート・ショートトラック男子500メートルを19歳で制した西谷岳文を抜き冬季五輪の日本勢で最年少のメダリストとなった。
「緊張とかで、自分の滑りができないのが五輪だと思う。これまでの人たちの分まで頑張れたのかな」
喜びの言葉に混じって冷静な状況判断も感じさせる15歳。兄の背中を追って、スノーボードに出合ったのは9年前、まだ4歳のころだった。
その名を世界に知らしめたのは、昨年1月に出場した世界最高峰の賞金大会「冬季Xゲーム」。五輪2連覇中だった絶対王者ショーン・ホワイトに次ぐ2位に入り、史上最年少メダリストに。昨年8月に初めて出場したワールドカップ(W杯)では頂点に立ち、その地位を確立した。
五輪は「小さい頃から出たいと思っていた」という。幼さの残る顔で目を輝かせ「目標は金。ショーンを倒したい」とも。1998年長野五輪で正式種目となってから日本人メダリストはいない。
一度も勝ったことがないとはいえ、ホワイトにもその実力を認められていた。「アユムはすごい才能を持っている。決勝では一騎打ちになるのではないか」と警戒感を強めていた。
ソチ入り後に行われた公式会見でも、海外メディアから平野に多くの質問がぶつけられたのは有力選手として扱われている証だ。まだ15歳の中学生だが、ここ数年は米国中を転戦する日々。冷静な判断や対応はそうした日々のたまものでもある。
落ち着きは内容にもあらわれていた。世界屈指とされる空中技の高さと美しさを、本番でも惜しげなく披露。惜しくも頂点は逃したが、追いかけてきたスーパースター、ホワイトも抜きさった。
「自分の最高の滑りをして、いい結果を持ち帰りたい」。そう言って臨んだ大舞台、実践してみせた。