原子力規制委員会は13日、事実上の合格証となる「審査書案」を作成する優先原発を九州電力の川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)に決定した。川内は立地自治体での公聴会や意見公募を経て、再稼働一番乗りとなる見通し。電力需要が高まる夏までに運転する可能性もある。
優先原発の選定では、規制委は基準地震動(想定される最大の揺れ)を重視。九電は基準地震動を申請時の540ガルから620ガルに引き上げていた。
この日の会合で、地震・津波担当の島崎邦彦委員長代理は「川内だけは(基準地震動が)すでに確定している」との見解を示した。過酷事故など設備面の安全対策を担当する更田(ふけた)豊志委員も「川内の重大事故対策で九電が示したものは満足のいくものだ。審査はおおむね順調に進んでいる」と述べ、審査で問題が出ていないとした。
川内には今後、審査チームの人員が集中的に投入され、他の原発の審査より優先され、最終段階となる審査書案を作成する。審査書案がまとまれば、公聴会や意見募集を経て、審査が終了する。原発の再稼働には審査を通過した上で、地元同意も必要となる。
今回、優先原発に選ばれなかった関西電力大飯原発3、4号機(福井県)は12日に基準地震動に関わる震源分析の見直しを規制委に伝えたが、今後の審査課題とされ、基準地震動が確定していない。基準地震動は大幅に上がる可能性があり、審査が長期化する見通しとなっている。