公開された福島第1原発の4号機原子炉建屋。使用済み燃料プールから燃料集合体を取り出す作業が続く=15日、福島県大熊町の東京電力福島第1原子力発電所【拡大】
東京電力は15日、福島第1原子力発電所を報道陣に公開した。東電は今月1日付で、社内分社「福島第1廃炉推進カンパニー」を設立し、汚染水対策や30~40年かかるとされる廃炉作業を進めている。放射性物質の恐怖と戦う過酷な現場で働く作業員と同じ防護服に身を包み、本紙エネルギー担当記者も現場に入った。
快晴の空の下、敷地内では千本桜が見頃を迎えていた。だが、3年前に起きた東日本大震災と津波の傷跡は生々しく残り、津波に流された重油タンク、窓の割れた休憩所などの建物が無残な姿をさらしていた。
記者に用意されたのは、放射性物質から身を守る「タイベック」と呼ばれる防護服。手袋と靴下も二重、三重に身にまとい、自然と体が汗ばむ。全面マスクは呼吸ができるが、圧迫感で気分が悪くなりそうだ。「気温が高くなる5月以降は“サウナ状態”で熱中症対策が必要となる」(東電の担当者)のもうなずける。
福島第1には多い日で5000人もの作業員が出入りする。「昨年は、熱中症対策のため、作業員にクールベストを着てもらうほか、涼しい早朝に勤務時間帯をずらしてもらったり、こまめに休憩をとってもらい、重病者が出るのは避けられた。今年も同様の対策をとる」と、小野明所長は語る。
報道陣は、建設が進む汚染水タンク、福島事故当時に恐怖に包まれながらも最前線の現場となった1、2号機中央制御室などを視察。燃料プールに沈んだ約1500本の燃料集合体をクレーンで取り出す作業が進む4号機建屋内にも入った。
「落ちるな! 落とすな!」
注意喚起を促す標語が至るところに張り出される中、作業員らは「UFOキャッチャー」としばしばたとえられるクレーンなどを操作して、燃料を収容する「キャスク」の除染作業に真剣に取り組んでいた。4号機で取り出しが完了した燃料は660体。今年末までに取り出し完了を目指す。
小野所長は「長丁場だけに、集中が途切れて事故が起きないようにしたい」と気を引き締めていた。(宇野貴文)