この第3作業部会報告書では、排出削減における経済協力開発機構(OECD)加盟国(1990年時点、以下同)、アジア、アフリカなど地域ごとの役割についても分析を行っている(この関係の記述は政策決定者向け要約には盛り込まれていない)。IPCCによれば、排出削減への各地域の貢献とその費用は国際的な気候政策の形成に直接関わることであり、地域間で削減努力をどのように分担するかについての考え方によって異なるが、能力に応じた削減、1人当たり排出量均等などさまざまな分担方式を想定した場合、気温上昇を2度未満に抑制できる可能性が高いシナリオにおける2030年の排出量は、OECD加盟国全体で10年水準の50%(削減努力の分担方式により異なるが、多くの場合30~60%)程度削減する必要がある。他方、アジアでは10年水準とほぼ同じか、やや低い水準とする必要があるとしている。
◆欧米が取り組み強化
これらの削減水準はいずれの地域にとっても大きな挑戦となろうが、主要国・地域でこの挑戦に向けた検討や取り組みが進んでいる。欧州連合(EU)は30年目標として1990年比40%削減を検討中である。米国も石炭火力への排出規制など取り組み強化に乗り出しており、排出量は2012年には05年比で10%低減している。
中国では、これまで専門家の間で排出量の頭打ちは30年頃という見方が支配的だったが、鉄鋼、セメント、エチレンなどの生産量が20年頃にピークを迎えるという見通しを踏まえ、最近政府系研究機関の有力研究者が20年代に頭打ちさせることが可能との分析結果を出している。すでに検討が始まっている第13次5カ年計画においてどのような目標が設定されるか注目される。