原子力規制委員会が九州電力川内原発の再稼働への合格証となる審査書案を了承した。「世界一厳しい」(田中俊一委員長)と規制委が自負する基準をクリアした初の原発となる。川内は事実上「世界一安全な原発」のお墨付きを得たことになり、速やかな再稼働が望まれる。
審査は半年ほどで終わると見込まれたが、昨年7月8日の申請から1年を要した。規制委は「事業者側の準備不足」を強調するが、事業者への要求事項の変更や審査体制が弱いなど、規制委の運営も十分でなかった側面は否めない。
川内の再稼働は早くても秋になる見込みで、東日本大震災後、列島は初めて原発ゼロの夏を迎える。川内のほかに11原発17基が審査を申請。規制委は今回の経験を踏まえ審査を効率化し、川内に続く第2、第3の審査書案の作成が急がれる。
政府は、規制委で安全性が認められた原発は再稼働させるとの立場だ。立地自治体の同意を経て再稼働となるが、川内に限らず立地自治体では政府の責任で再稼働することを望む声が強い。原発推進の道を選んだ政府の責任ある対応も必要となるだろう。(原子力取材班)