同庁は先ごろ金融機関と連携し、その取引先の中小企業に「知財ビジネス評価書」や「知的資産経営報告書」を無料で作成・支援し、解説するサービスを開始した。全国の知財総合支援窓口を通じて派遣される知財などの専門家が実務を担当する。金融機関による中小企業や保有する知財の理解促進に加え、融資申請・審査の際の資料として普及させ、知財融資につなげる試みだ。
知財の価値評価・算定に詳しい竹田・長谷川法律事務所の松本浩一郎弁理士は「特許庁が金融・経営分野にも入っていくことは大変重要だ。例えば、シンガポール政府は特許に保証をつけて知財保有企業に資金を提供していくと表明している」と指摘する。
知財を資産と認識することで、金融機関は知財金融能力を構築し、企業は保有知財を活用して資金調達を行う。海外ではすでに、こうした仕組み作りが始まっている。産業競争力強化をうたうなら、日本も後れを取ってはならない。(知財情報&戦略システム 中岡浩)