新人の育成は人事、現場が一体となって取り組まなければならない重要課題である。それができれば、新人に限らず2年目以降の育成についても、人事とタッグを組みながら育成プログラムを効果的に開発していける。中身で大切なのは「会社やチームは何にこだわるのか」「何がミッションか」「この会社の社員たるべき行動は」などの価値観や理念、行動特性を教えていくことである。
ところが往々にして「どんな技術や資格をいつまでに」といった知識・スキルに偏り、会社の価値観に照らし合わせた行動を取っていないから、新人は動かない。また、それは新人に限らない。
山本五十六の言葉は次のように続く。
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
育成する側、育成される側が信頼でつながれていて、育成のために必要な介入を、必要なタイミングで行えれば、人はさまざまな困難を乗り越えて成長を遂げていくだろう。そのような努力の中で、人を育てる環境ができていくと信じている。
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【プロフィル】浦山昌志
うらやま・まさし 佐世保高専電気工学卒。1978年松下電器産業入社。90年CSK入社。93年米シスコシステムズの認定教育を日本で初めて開始。2003年IPイノベーションズを設立し、代表取締役。08年ASTD(米国人材開発機構)ジャパンの設立を主導し、現日本代表理事・事務局長。56歳。長崎県出身。