孔子は「自ら悩み、考えない者には指導しない。苦しむくらいに自分で考えることに悩まない者にはヒントも与えない。1を聞いて3を返すようでなければ指導しない」という言葉を残した。これは現在の「啓発」の語源となっている。誰かが用意した教育プログラムをそのまま学ぶ姿勢では、この啓発のレベルにたどりつかない。常に自分で考え、試行錯誤しながら自分自身の学びが深まっていく。インターネットを通して、さまざまなコンテンツが世界中にあふれている。オンラインコミュニティーで知らない人々とも議論しながら互いに啓発しあえる。学びの選択肢は無限に広がっているのである。
しかし、この不確実な世界では、今日学んだことが明日以降も通用するかどうかの確証はどこにもない。知識はコモディティ化したけれど、急速に陳腐化する。だから常に自分の学びの姿勢・態度を振り返ってみてほしい。「自分の学び方は本当に適切なのか、自分が学んでいることは明日でも通用するのか、自分の学び方に改善の余地はないか」と。
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【プロフィル】浦山昌志
うらやま・まさし 佐世保高専電気工学卒。1978年松下電器産業入社。90年CSK入社。93年米シスコシステムズの認定教育を日本で初めて開始。2003年IPイノベーションズを設立し、代表取締役。08年ASTD(米国人材開発機構)ジャパンの設立を主導し、現日本代表理事・事務局長。56歳。長崎県出身。