彼らはプライベートで買い物などに車で行ったときに、店の入り口に近い駐車場を避けてなるべく遠くに止める。子供連れの人や高齢者が近くに止められるように配慮するのだ。また、通勤のとき、反対車線をまたいで直接右折せずに一度通り過ぎて、他者に迷惑にならないところでUターンをして会社に入るなど、渋滞を起こさないように配慮している。社員が市内のレストランで食事をするときは、とてもきれいに片付けていくので、その会社の社員とすぐに分かるそうだ。社屋や庭は社員たちの手によって常にきれいにされており、一般の人たちの憩いの場ともなっている。
これは、社員教育を教室で行ったからではなく、普段の仕事の場面において経営者が自らの背中で、長年かけて伝えていった結果である。このように常に周りの人たちの幸せを願って行動している会社の社員たちが不正をしたり不祥事を起こしたりはしないだろう。そんな職場が増えれば、働く人たちも幸せに包まれる。
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【プロフィル】浦山昌志
うらやま・まさし 佐世保高専電気工学卒。1978年松下電器産業入社。90年CSK入社。93年米シスコシステムズの認定教育を日本で初めて開始。2003年IPイノベーションズを設立し、代表取締役。08年ASTD(米国人材開発機構)ジャパンの設立を主導し、現日本代表理事・事務局長。56歳。長崎県出身。