■節電と温暖化対策で地中熱利用有効
再生可能エネルギーの中では地味な存在だが、地中熱は日本中どこでも導入が可能だ。冷暖房や熱需要などに利用すれば節電だけでなく、二酸化炭素(CO2)発生量も抑制できる。特定非営利活動法人「地中熱利用促進協会」の笹田政克理事長は「国の補助金も始まり、導入件数は着実に増えている」と話す。
--地中熱利用のメリットは
「浅い地盤にあり、年間を通じて一定の温度を保つため、日本のどこでも安定的に利用できる。ヒートポンプを使って利用する場合、地下80~100メートルまで掘ってパイプを設置、その中に水を循環させて熱交換し、冷暖房として利用する。ヒートポンプを稼働させるエネルギーに対し4~5倍のエネルギーを得られる」
--日本の導入件数は
「環境省によると、2011年までの累計設置件数は約1000件だが、欧米や中国に比べ大きく遅れている。欧米はオイルショック後に熱心に進め、中国では国策として取り組んでいる。日本も10年のエネルギー基本計画に盛り込まれたことで、11年度から経済産業省、13年度から環境省が補助金を導入。補助金採択件数は11年度の27件から、12年度は77件、13年度は103件と伸びている」
--導入している施設とその効果は
「補助対象は一定以上の規模なので医療施設、福祉施設などが多い。これらは24時間、熱需要が多い。効果については、青森県の公共施設の場合エネルギー消費量を46%削減、CO2発生量を50%削減したという。東京スカイツリーにも熱供給用として使われており、予想していたより稼働率は高いと聞いている」