オフィスビルのトイレのリニューアルで導入された新しい小便器(中)。入居会社の社長がいつものように用を足したところ、「跳ね返りが多すぎる」。不満を募らせて自ら苦情電話をかけて別の小便器(右)に交換させたが、これも「まだ尿跳ねがある」と憤り、ついに提訴に踏み切った。その結果は…【拡大】
この状態に我慢ならなかった社長は、設置から4カ月以上が過ぎた25年10月初め、ついに行動に移した。大手便器メーカーのお客様相談室に自ら電話をかけ、「尿跳ねがひどい」と苦情を申し入れたのだ。2週間後の10月中旬、メーカー担当者が苦情内容を社長から直接聞くため駆けつけた。
社長は担当者に対し、尿跳ねに対する不満を訴えるだけでなく、実際に男子トイレに連れて行き、容器から水を便器に噴射して尿跳ねが「激しい」ことを訴えた。さらに「こんな便器はすべて交換するくらいのことが必要ではないか」とも主張した。
後日、社長は再びメーカー担当者と向かい合った。ビル所有会社の系列の管理会社の担当者も同席し、メーカー担当者は「尿跳ねがまったくない商品は開発できていない」と社長に釈明。「便器のどの部分に尿が当たるかによって、跳ね方が微妙に異なる」とし、便器交換の代わりに尿跳ねを軽減するため小便器に「ターゲットマーク」を付けることを提案した。
だが、社長は頑として便器の交換を要求。これに折れたメーカー側は同年12月下旬、自社製の縦長タイプの小便器に取り換えた。