地検に送検するため万世橋警察署を出る、仮想通貨「ビットコイン」取引所・マウントゴックス社CEOのマルク・カルプレス容疑者を乗せた警察車両=8月2日午前、東京都千代田区(早坂洋祐撮影)【拡大】
米国のIT業界で長年働いてきた日本デジタルマネー協会代表理事の本間善実(よしみつ)さん(47)は25年11月、米国の雑誌でBTC特集を見てその可能性に目を付けて、2カ月後には同協会を発足。数百万円をBTCに投資した。「BTCはあらゆる商取引を変える可能性がある」。理想の通貨だと直感した。
その熱気を一身に集めたのが、マウント社だった。マウント社は25年3月期には手数料だけで1億円を売り上げ、最盛期には数億円を売り上げる月もあった。顧客は12万人超。大半が、BTCの可能性を見いだした海外の投資家だった。
「マウント社は世界でほぼ唯一の取引所だった」と投資家のロジャー・バーさん(36)は指摘する。一方で「唯一であるが故に、(破綻前から)世界最悪の取引所ともいえた」とも。
本間さんは「マウント社の事件は、BTCまで破綻したと多くの日本人の誤解を招き、日本でのBTCビジネスの遅れにもつながっている」と話す。破綻の影響は尾を引いている。
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いま、マウント社をめぐっては異例の破産手続きが進んでいる。
「4月22日 第3回債権者集会配付資料」「7月23日 債権者が変動した場合について」…。マウント社のホームページには、債権者への通知が英文と日本語でずらりと並ぶ。その最上段をクリックすると、ネット上で債権者の届け出ができるシステムが作動する。世界中に散らばった債権者の情報を得るため、管財人側は、BTC事業なども手がけるIT関連会社と契約して独自に構築した。
債権者が確定しても、返済方法は未定だ。債権者の多くはBTCでの返済を望んでいるが、世界的にもBTCでの破産手続きは先例がない。
「現金とBTCをどのように分けて返済するか。暗号の管理が必要な差し押さえはどうすればいいか。課題は山積みだ」。破産手続きに詳しい三平聡史弁護士は指摘する。