原真理恵社長と昨年9月に生まれた長男。母親と経営者の仕事を両立している【拡大】
この背景には、長年にわたって築かれた知財部と特許事務所の強固な人間関係がある。地道な人間関係の構築によって対抗することが有効だが、海外出願の重要性は急速に高まり、じっくり構えている余裕はない。「(直接管理の結果)予算をより有効に使えれば、日本企業はさらに多くの海外出願ができるようになる。新たな形へ挑むリスクはあるが、変化をしないリスクもあることを考えてもらえたら」と願うばかりだ。
原社長は従来の知財部のあり方を否定したり、日本の特許事務所を敵視したりしているわけではない。最終的な目標を、知財部がさらに力をつけ、企業内での発言力を高めることに置く。そのためには「今の環境の中で翻訳業務の観点から何を提供すべきかを、知財部や日本の特許事務所と一緒に考えていきたい」と呼びかける。例えば、多くの英米系翻訳会社は各国の特許事務所と連携し、当該国から海外へ、海外から当該国への出願・翻訳業務をリーズナブルな料金で企業に提供するグローバルなサービスプラットホームを既に開発し、運用している。
どうすれば日本企業がグローバルレベルの翻訳業務を理解し、活用し始めるのか、原社長の挑戦は続く。(知財情報&戦略システム 中岡浩)