トヨタのFCV関連特許の無償開放について解説する望月俊一氏【拡大】
同事務所の佐藤辰彦代表(69)は「私の時代、特許事務所でのでっち奉公は図面作成に始まり、調査、所内事務、中間処理、明細書の順番だった。望月君はその教育を受けた最後の世代だ」と話す。図面作成から入るのは、明細書に付けるためだけでなく、調査業務とも関係する。「調査では何百件もの明細書を査読するが、図面の作成経験があれば、文章を読まずに図面を一瞬見るだけで内容を判別できるようになる」と望月氏は言う。
調査業務は通常、特許出願時に似たような技術が過去になく特許成立の可能性があるか、当該技術を用いて製品を販売した場合に他社の権利を侵害しないか-などを把握する。望月氏が立ち上げた解析業務は、特許情報をさらに深堀りして企業の強みと弱みを分析し、将来の開発や事業の方向性を探索する。中堅・中小企業向けの相談支援業務として高いニーズが見込める有望分野だ。
「弁理士になることを諦めたわけではないが、今は特許解析の道を切り開いていきたい」と望月氏は語る。(知財情報&戦略システム 中岡浩)