【ジャカルタレター】汚職撲滅委員会の人事に疑問の声 (2/2ページ)

2016.1.13 05:00

インドネシアの高速鉄道計画の契約について調印し、握手するインドネシアと中国の当局者ら。日本の同国へのインフラ輸出戦略は転換を迫られているが、汚職対策への支援も鍵を握りそうだ=昨年10月(AP)

インドネシアの高速鉄道計画の契約について調印し、握手するインドネシアと中国の当局者ら。日本の同国へのインフラ輸出戦略は転換を迫られているが、汚職対策への支援も鍵を握りそうだ=昨年10月(AP)【拡大】

 しかし、KPKの力が強くなり、汚職の取り締まりに危機感を覚える国会議員や警察官の一部は、KPKの力をそごうと必死となり、最終的に警察長官の人事に異を唱えたKPKに対し、敵対関係をあらわにした警察の力による介入の結末が、昨年1年のKPKの機能不全である。KPKの委員の選出には、国会での承認が必要であり、今回のKPK人事にも国会、つまり汚職取り締まりを恐れる国会議員の意向が反映している。

 ◆インフラ計画に影響

 15年は、ジョコ・ウィドド大統領が、前政権時代に進められていた大型インフラ計画の再検討、凍結作業を進めてきた。日本にとって大きな衝撃となったのは高速鉄道計画の中止とその後の中国との契約であり、西ジャワのチラマヤ新港事業の見直しも痛手となっている。インドネシア政府としては、ジャワ島以外の投資を望み、また優先事項として新幹線よりもニーズの高いインフラ整備を行いたい意向を示しているため、日本としても戦略を再考する必要がある。

 しかし、一方で、われわれの手が及ばない「汚職」という要素が実は多くを占めていたという点も忘れてはならない。16年は、汚職対策の方法も真剣に模索する中で、汚職撲滅を掲げているインドネシアの市民社会からの情報収集を怠ってはならない。市民社会との連携が鍵である。(Serendipity Japan 堀場明子)

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 「ASEAN経済通信」

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