
映画「カンパイ!世界が恋する日本酒」の看板の前に立つ、南部美人の久慈社長【拡大】
□平出淑恵(酒サムライコーディネーター)
東日本大震災の後、「東北のお酒を飲んで支援してほしい、お花見を止めないでほしい」と訴えたのが、岩手県二戸市の蔵元、南部美人の久慈浩介社長だ。東北地方の酒蔵のみならず全国に広がる自粛ムードで危機にあった多くの飲食店も、久慈社長に救われた。
国内外で日本酒の啓蒙(けいもう)活動に尽力してきた久慈社長のフットワークの良さは業界内では有名で、「実は双子?」と冗談を言われるほどだ。一方で広報活動のみならず、岩手県が認定する「青年卓越技能者表彰」を、南部美人の杜氏(とうじ)である松森淳次氏とともに受けるなど、酒造りにも参画していることが、よく知られているからかもしれない。
震災後、地元の再建に力を尽くしてきた久慈社長が昨年から映画という大きな情報発信活動を始動させた。
ドキュメンタリー映画「カンパイ!世界が恋する日本酒」は、日本酒の芳醇(ほうじゅん)な味わいに魅せられて外国人として初めて杜氏になった英国人、フィリップ・ハーパー氏、日本酒の素晴らしさを世界に発信する米国人ジャーナリスト、ジョン・ゴントナー氏、そして久慈氏の3人の活動を通して、日本酒が持つ奥深い魅力に迫る。