日本では1885(明治18)年に最初の特許法が制定されたが、そこには秘密特許制度があり累計で1751件登録された。秘密特許制度は、第二次大戦後の1948年に廃止され、それから70年間、特に議論することもなく、廃止されたままになっている。
日本も外国と同じように秘密特許制度を導入する必要性が高まっている。秘密特許の方式には、特許の審査を凍結する方式(米、英、仏、韓)と特許を付与して公開しない方式(独、中、露、東欧)がある。日本がどちらの方式を採用するか早急に検討すべきだ。
日本が安全保障技術の情報管理を的確に行うことは、日本の防衛のみならず、世界の平和に貢献することにつながる。
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【プロフィル】荒井寿光
あらい・ひさみつ 東大法卒、ハーバード大大学院修了。通商産業省(現経済産業省)入省、特許庁長官、通商産業審議官、初代内閣官房・知財戦略推進事務局長、世界工業所有権機関政策委員を歴任。退官後、日本初の「知財評論家」を名乗り知財立国推進に向けて活動。著書に「知財革命」「知財立国」。72歳。長野県出身。