しかしながら、都内のある中小企業経営者が「海外進出や外国企業との取引、外国人採用も進みつつあり、規定を作る必要性は感じており、やる気はあるが、できていないのが現状だ」と話すように、職務発明規定を設けている中小企業はそもそも2割程度に留まっているとみられている。大企業はほぼ全てが職務発明規定を設けており、ここには大きな格差が生じている。
千葉慎二・知財活用支援センター長補佐は「職務発明規定整備は労働問題を含み、既存の規定やその後の運用方法も含め非常に複雑で難しい課題だが、例えば弁護士ならば中小企業が作成中の規定案を見せてもらいながらの助言も可能となる。INPITは中小企業などの相談対応を積極的に推進する目標を掲げており、この機会に気軽に知財総合相談支援窓口に声をかけてほしい」と呼びかけている。なお、中小企業が望めば、担当弁護士と個別の契約を結ぶことは問題ないという。
中小企業は特許出願しないノウハウや改良技術も多い。INPITでは職務発明と併せて今後、営業秘密管理規定の整備に関する支援も進めていくことを検討している。(知財情報&戦略システム 中岡浩)