【高論卓説】人間の脳を超えるスパコン 人間性の実証的研究が可能に (2/3ページ)

 人間の知能をAIが超えてしまい社会が根本から変わってしまう「シンギュラリティ」が20年ごろを起点として起こるのは、計算機の性能向上を考えると必然だ。逆に、積和演算がひたすら速い超並列マシン、いわゆるスパコンを開発することがAI研究の最重要課題となったということも言える。脳型コンピューターは、行列演算に特化したスパコンに収斂(しゅうれん)したのだ。

 では、演算処理速度としては、人間の脳に匹敵する100京マシンは、人間の脳を代替できるだろうか。その答えは、ある意味では「イエス」であり、ある意味では「ノー」だろう。本当に大事な問いは、何ができて何ができないのかを検証し、その理由は何かを明らかにすることである。そのための数値実験が20年代に盛んに行われるようになるだろう。

 人間心理、文学、音楽、詩、哲学など、これまで人間のみが直接関与できた研究分野が、電子計算機を使って実証的に検証しながら研究が進むようになるはずだ。人間の脳の中の状態を詳細に把握することは難しい。しかし、その機能を電子計算機に移すことができるのならば、電子計算機の内部情報はいかようにでも把握できる。これまでの文系学問の研究が、電子計算機を道具に理系の手法を取り入れて一気に加速するかもしれない。

さらには、人間の理解が一層進むだろう