
27日で閉館する堂島ホテル=27日午前、大阪市北区(南雲都撮影)【拡大】
しかし、戦略転換は裏目に出て富裕層の客が減少。関係者によると、改修を重ねる中で建物本体の老朽化が進んでいたにもかかわらず、水回りや空調部分は費用や時間がかかるため、見栄え重視の改装で済まされていたという。昨年11月に同ホテルの実質的な所有者となったウェルス・マネジメント(東京)が、高額な修繕費を理由に閉鎖を決めた。
毎月の会合に利用していた大阪府中小企業家同友会の役員は「建物はすばらしく、料理もおいしかった。北新地に近いのは最高の立地だ」。同ホテルの隣に本社があり、記者会見やパーティーを頻繁に開催していたサントリーホールディングスの幹部も「残念でならない」と話す。
同ホテルによると、閉館が決まって以降、惜しむ客らが相次いで訪れ、11~12月の客室稼働率は9割で推移。26日の最終宿泊もほぼ満室だったという。13年勤めてきたという営業部宴会ブライダル課の岡本周作支配人(39)は「先輩や同僚、お客さんとの巡り会いに感謝している」と振り返り、運営会社の山元貫司社長は「最後の社長を務められて光栄だった。もう一度再生できたとしたら100年続くホテルになると思う」と話した。
閉館後の施設の今後は明らかにされていないが、歓楽街に近い好立地だけに、外資ホテルチェーンや、歴史的建造物をホテルに改装する案件を得意とする企業などが運営権取得を検討しているともされる。