比の防災意識、次世代につなぐ「ジャイカ」さん 日本の台風禍事業支援に感謝 (2/2ページ)

2017.4.18 05:00

ジャイカさん(右)と父親のナルシーソ・ドゥマランさん=2月、フィリピン・オルモック(共同)
ジャイカさん(右)と父親のナルシーソ・ドゥマランさん=2月、フィリピン・オルモック(共同)【拡大】

 工事の指揮を執った建設技研インターナショナル(東京都)の賀来衆治さんは「一筋縄ではいかなかった」と振り返る。工事中、第二次大戦時の不発弾が出てきたり、旧日本軍が隠したとされる「山下財宝」を日本人が探していると勘違いした住民に監視されたり。用地取得や住民の移転説得にも苦労しつつ、01年に工事が完了した。

 成果が表れたのは13年11月、台風30号が来襲したときだ。レイテ島の最大都市タクロバンを中心に大きな被害をもたらし、同国での死者は6300人に上ったが、オルモックでは38人だった。

 工事が進行中の00年、オルモックで1人の女の子が生を受けた。公共事業道路省に勤める父親、ナルシーソ・ドゥマランさんは、JICAなどの支援で着々進む工事を見て、その子をジャイカと名付けた。「支援事業に感謝したんだ。世界で唯一の名前だろうね」

 ジャイカさんは16歳。名前の由来を理解したのは13歳の時だったといい「私たちの町を守ってくれた日本の組織と同じ名前なんて驚いた。でもすぐに誇らしく思った」と笑う。

 災害の事後対策に予算を投入する自治体が多い中、オルモックはダムなどの維持費を一般会計に計上、普段から災害に備えている。賀来さんは「防災は対策も教育も息長く続ける必要がある。防災意識をジャイカさんのような次世代につなげたい」と強調した。(オルモック 共同)

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