九州豪雨 「洪水危険度」活用に課題 予想降水量で中小河川の氾濫警告 避難自治体「見ていない」 (2/2ページ)

5日午後2時50分時点の「洪水警報の危険度分布」。朝倉市内の複数河川ですでに「極めて危険」を示す濃い紫が現れている(気象庁提供)
5日午後2時50分時点の「洪水警報の危険度分布」。朝倉市内の複数河川ですでに「極めて危険」を示す濃い紫が現れている(気象庁提供)【拡大】

 指定河川洪水予報との違いも際だった。国や都道府県管理の大河川計419(昨年3月末時点)では観測所ごとに設定された水位に達すると情報を出す。

 国交省は午後5時に同県添田町の彦山川で氾濫を確認したが、この時、17キロ下流の観測所の水位は最も低い「水防団待機水位」。気象庁の危険度分布は午後5時時点で、彦山川上流で濃い紫色が出現していた。

 ■現場報告で勧告

 従来情報では把握できない中小河川や上流部の洪水予測はできているようだ。では、現場は-。朝倉市は午後2時26分に市内全域に避難勧告を発令。気象庁が避難を勧める薄紫色が現れてから約1時間後だった。

 だが、職員は「危険度分布は見ていなかった」。4日の運用開始は知っていたという職員は「避難勧告は現地からの報告で出した。急激に水位が上がったので(危険度分布は)確認できなかった」と説明した。

 自治体にはまだ周知が進まない実態もあらわになった。気象庁の担当者は「届きやすくする工夫も必要」と反省する。静岡大学防災総合センターの牛山素行教授は「今回のような中小河川の水害で有用なのは間違いない。後は狭い範囲の住民にいかにして知らせるかが課題だ」と指摘した。

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