ヘッドフォンから流れる音は、厨房で熟成肉を実際に焼いている音を、マイクで拾って録音したものだ。想像力を膨らませ、おいしさを倍増させるためには、どんな音楽よりも調理している音がベストと考えた。
顧客層は、銀座に買い物に来る40代が中心だ。接待需要も多い。また、歓送迎会、打ち上げといった用途で団体客も目立つ。顧客単価はランチで6000円、ディナーで2万円といったところだ。
ギンザシックスの地下2階食品フロアには、姉妹店「MEET&GREEN 旬熟成」も出店している。これは熟成肉にオーガニック野菜を合わせたサンドイッチの店で、サラダ、熟成肉の缶詰、酵素ドレッシングも販売している。
いま、東京や大阪のような大都市にある商業施設では、大規模なチェーン店よりも集客力が高い個店を好んで入居させる傾向が強まっている。フードイズムにも多くの商業施設からオファーが来たが、同社の跡部美樹雄社長は「銀座ならば訪日観光客も多いので、海外に出ていく拠点にもなる」と考えて決断したという。
目隠しレストランの良さとは?
目隠しをして食事をするレストランといえば、東京・浅草の緑泉寺で月に一度開かれる「暗闇ごはん」がある。
明かりを落とした暗闇の部屋でアイマスクを着用し、完全に視覚を奪われた非日常的な状況を作り出す。料理は1品ずつ運ばれ、残された嗅覚、味覚、聴覚、触覚をフル回転して食べるので、食べ物の味が普段より濃厚に感じられると好評だ。
また、東京都国分寺にある「カフェスロー」で土曜日(毎週ではない)に開催される「暗闇カフェ」は、店内の電灯を落として、キャンドルの明かりで営業している。
こうした「暗闇系飲食店」の参加者からは「視覚情報は非常に重要だが、ストレスにもなっていることに気付いた」という感想が寄せられている。
何かとストレスの多い現代社会。雑念を排除し、食べ物の味に集中できる目隠しレストランの需要は、これからさらに高まっていくかもしれない。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ) 兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。