
汗を流して森林再生に向け植樹活動に力を入れる日本の一般ボランティア(長谷川周人撮影)【拡大】
製紙原料となる植林地とは異なり、自然林の育成は環境保全が目的であり、経営資源にはならない。しかし、APPは世界の製紙業界をリードするグローバルカンパニーとして、テグー・ウィジャヤ会長は「単なる利益追求ではなく、環境保全と両立する経営環境をつくらなければ、企業は生き残れない」と言明。自生種で自然林を再生する「1万本植樹プロジェクト」をスタートさせた。
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熱帯雨林の保全・再生プロジェクトも前進
毎年1万本の自生種を植樹する壮大な計画で、16年からは日本人ボランティアによる植樹も始まった。自然林伐採ゼロを国際誓約した「森林保護方針」の発表から5年目。同社のステークホルダー・エンゲージメント担当部長、ネグラサリ・マルティニ氏によれば、多くのステークホルダーとの連携により、APPはインドネシアで保護・再生対象となる10カ所の森林エリアのうち、5カ所の最重要地域を特定することができたという。
「巨大企業が環境に優しい経営に舵を切るのは並大抵ではなく、ある種のジレンマもあるはず。しかし、それはあらゆる企業の責任でもあり、汗を流して森林保全・再生を実践するAPPの環境対応を若い世代に見せていきたい」。APPの植樹イベントにボランティア参加した鎌田安里紗さんは、今回の植樹活動をこう振り返る。