社会・その他

相続税逃れに「一般社団法人」設立? 不動産の付け替えが半永久的に…政府も規制案を提出 (2/2ページ)

 今春から適用へ

 政府も危機感を持っており、今年2月、課税逃れを規制する内容を盛り込んだ税制改正の関連法案を国会に提出。同族役員が過半数を占める一般社団法人の場合、役員の死亡により法人が一部資産を相続したとみなして相続税を課税する-などとした。政府は今春からの適用を目指している。

 新たな規制案について、一般社団法人の課税逃れ問題に詳しい中尾隼大(しゅんた)税理士(中国税理士会)は「節税する目的のみで役員の半数以上を第三者とするのは現実的に難しく、厳格な姿勢がうかがえる」と評価。ただ、「形式的には仲の良い複数の家族が集まり共同で法人を設立するなどの抜け道も考えられる」と指摘する。

 近畿税理士会調査研究部の桜井繁樹税理士も「役員数が2分の1を超える場合というのは甘いのではないか。さらに厳しくしても、きちんと活動している団体に弊害はない。規制を強化すべきだ」と話している。

 一般社団法人 公益法人制度改革で平成20年に関連法が施行され、従来の社団法人に代わり、公益社団法人とともに設けられた法人。それまでの社団法人は公益性が求められたが、その有無にかかわらず設立できるようになった。NPO法人が特定の非営利活動を目的として行政庁の認証を受けることが必要なのに対し、行政庁の許可なく登記のみで設立できるほか、事業内容に制限がない。株式会社と同じように収益事業も行える。ただし、株式会社の株式に相当する「持ち分」という概念がなく、相続税がかからない仕組みとなっている。

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