小5が作った“定規”にあったヒットの予感 “分数ものさし”を発明した浜松の天才少年 (1/5ページ)

 分数は小学校算数の大きなヤマ場だ。多くの子は、これまでの整数の計算との混乱でつまずいてしまう。そんな分数を直感的に習得できる教材を発明した子がいる。

 算数の落ちこぼれを救った「分数ものさし」開発秘話

 算数が苦手という話になると必ずといっていいほど登場するのが「分数の計算」だ。とりわけわり算は、大人ですら「どうしてひっくり返してかけるのか、さっぱりわからない!」と開き直ってしまうことも珍しくないだろう。

 静岡県浜松市の中学1年生、山本賢一朗君も小学5年生の頃、友達からそんな相談を受けた。

山本賢一朗君

山本賢一朗君

 以前から友達から勉強の相談を受けることが多かった賢一朗君だが、分数の計算の説明には苦労した。かけ算なのにどうして答えが元の数字よりも小さくなるのか。反対に割り算なのに大きくなるのはどうしてか。そして、なぜ割る数の分母と分子をひっくり返してかけるのか……。何度説明してもなかなか納得してもらえない。

 「どうにかして簡単にわかってもらえる方法はないかな……。はじめは、円盤をピザを切るように扇形に等分して説明できないかとも思いました。でも、それでは計算の説明には無理がある。考えあぐねていたんです」

 ずっと考えていたある日、賢一朗君は塾を経営する父・裕一朗さんから1本の「ものさし」を渡された。「素数ものさし」だ。裕一朗さんは息子が悩んでいるのを知っていたが、塾で教える立場でも、子供たちがつまずきやすい分数の計算をわかりやすく説明することは切実な問題。さまざまな教材を調べるうち、素数ものさしに出合った。

 「素数の部分にだけ目盛りがついているものさしです。京都大学の生協で売られているもので、修学旅行で京都に行った教え子に買ってきてもらったんです」(裕一朗さん)

 素数、つまり、2cm、3cm、5cm、7cm、11cm、13cm、17cmにしか目盛りがついていない。当然、ものさしとしては実に不便である。

 「でも、そこがいい。素数以外の長さも、工夫すれば測れないこともない。そういった、ちょっとゲーム感覚の面白さがあって、しかも素数を『視覚化』しているところが興味深いですよね」(裕一朗さん)

 素数ものさしを見ていて賢一朗君はひらめいた。目盛りのつけ方を工夫したものさしで、分数が説明できるのではないか……と。

分数を整数に置き換えるという画期的発想