社会・その他

いつか来る“通貨危機” なぜ、日本人は気づけないのか (3/5ページ)

 通貨危機が金融危機に転じやすくなっている

 通貨危機の恐ろしいところは、それが世界的に伝染することにある。かつて通貨危機は、経常収支赤字などマクロ経済の不均衡が拡大している国が経験すると考えられてきた。そして同様の不均衡を抱えている経済(70年代の南米など)に通貨危機が伝染していくという傾向が見られた。

 もっとも金融市場のグローバル化が進んで以降、そうした不均衡が必ずしも生じていない国でも通貨危機を経験するようになった。例えば90年代後半に通貨危機を経験したアジア諸国の場合、経済の不均衡は深刻ではなかったし、この流れが伝染したロシアの場合、当時抱えていた問題はアジア諸国とは根本的に異なっていた。

 金融のグローバル化により通貨の売買が容易になったことが、通貨危機が変質した最大の理由と言える。通貨の売買が容易になったため、投資家の思惑で通貨が上昇も下落もしやすくなった。投資家はある通貨の下落で被った損失を、違う通貨を売却して補填しようとする。その結果、通貨危機が世界的に伝染しやすくなったと考えられる。

 アジア通貨危機を経て、多くの新興国が変動相場制度を採用するようになった。そのため、かつてほど深刻な通貨危機は生じないという見方もある。ただ新興国が採用している為替相場制度は、実態としては固定相場制度に近いものが一般的である。深刻な通貨危機は今後も生じ得るというのが筆者の見方だ。

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