信長の安土城が復元? 「千載一遇のチャンス」も費用・設計図どうする (3/3ページ)

安土城のあった安土山一帯。滋賀県が天守復元の検討を始めた=滋賀県近江八幡市
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資金面も課題

 さらに膨大な費用の財源をどうするかも課題。「天守復元の話が出て以来、『どこにそんな金があるんだ』という電話があり、正直戸惑っている」。安土城関連施設の関係者はため息まじりに話す。

 地元企業でつくる滋賀経済産業協会は昨年、観光振興の起爆剤、新たなランドマークとして、安土城天守の再建を県に提言した。その際、コンクリート造りの場合、工費は約300億円と試算。しかし行財政改革まっただ中の県に果たしてそんな余裕があるのか。木造での復元だと、さらに費用がかさむ可能性もあり、構想について懐疑的な声も聞かれる。

 そもそも、県は平成元年から20年かけて安土城跡の発掘調査を実施したが、財政事情から継続が困難となり、全体の2割程度の調査で打ち切ったという経緯がある。

 「夢とロマンと志のあることに寄付をいただく文化が醸成されつつある。(安土城復元を)積極的に発信していきたい」。三日月知事はこう述べ、年末年始の経済界の会合などで協力を呼びかけたが、幻の城の再建は一筋縄ではいきそうにない。