メタボ健診の基準は「妥当」、医療費削減にも貢献 ビッグデータ解析で実証
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の腹囲基準を取り入れた特定健診・保健指導の開始から4月で8年目。当初は腹囲をメタボの基準の一つとすることに賛否両論があった。しかし、これまでに蓄積された対象者のビッグデータを解析した結果、基準の設定が妥当で医療費の削減にも貢献していることが実証された。内臓脂肪を減らすことの重要さが改めて示された形だ。(山本雅人)
門脇孝・東京大大学院教授を主任研究者とする厚生労働省の研究班は平成22~26年度の5年間、健診・指導の基準の妥当性を調査した。
心血管病を抑制
追跡データの収集が可能な全国12カ所の疫学研究(約3万1千人対象)から、保健指導の対象に該当する人が、心筋梗塞などの心血管病を発症しているかどうかを解析した。
その結果、保健指導の対象者のうち「積極的支援」の基準に当たる人は、健康な人に比べ、男性で3・17倍、女性で2・83倍、心血管病を発症しやすいことが分かった。また、「動機付け支援」の基準に当たる人でも男性1・97倍、女性2・32倍との結果が出た。
門脇教授は「特定健診・保健指導の基準設定が、確かな根拠を持つものだと実証された」とし、「リスクの高い人は内臓脂肪を減らすことで心血管病の抑制効果があることを示している」と分析する。
年間医療費も減
この研究と前後して、特定健診・保健指導に医療費削減効果があるかどうかを調べる厚労省のワーキングチームが開始から5年間で集積したデータを検証し、中間とりまとめを行った。
約200万人を対象に健診データを解析したところ、「積極的支援」に該当し、保健指導を受けた人の腹囲は半年間で男性が2・2センチ、女性が3・1センチ減少。一方、該当しながら指導を受けなかった人はほぼ横ばいだった。
さらに、20年度に「積極的支援」に該当し、医療機関を受診した際のレセプト(診療報酬明細書)のデータと突き合わせることのできた約20万人を調べたところ、保健指導を受けた人は受けなかった人に比べ、1年間の医療費が男性で5340円、女性で7550円も少なかったことが判明した。
特定健診・保健指導は「病人を増やすだけ」との批判があった。しかし、調査結果から、内臓脂肪を減らして腹囲が小さくなれば、健康状態が改善し、医療費が削減される事実が示された。
ワーキングチームのメンバーで、あいち健康の森健康科学総合センターの津下一代センター長は「今後はより詳細に分析して課題点なども見つけ、健康寿命の延伸につなげていきたい」と話している。
■腹囲とリスク数で判定
メタボ健診とも呼ばれる特定健診は、40~74歳が対象。腹囲が男性で85センチ以上、女性で90センチ以上か、BMI(体格指数)が男女ともに25以上の場合、血糖、血圧、脂質の数値や喫煙の有無からリスクを算出、複数重なる場合は特定保健指導の「積極的支援」、1つ(BMI25以上では1~2つ)の場合は「動機付け支援」の対象となる。紙で結果を知らせるだけの従来の健診とは異なり、積極的支援の場合、専門スタッフによる生活習慣改善の指導が3~6カ月にわたり継続的に、動機付け支援は原則1回実施される。
関連記事