ワクチン接種、2回目以降も忘れずに 免疫維持し、新たな流行防ぐ
ワクチンで予防できる病気から健康を守るには、必要なワクチンを決められた回数接種することが大切だ。ただ、回を重ねるごとに接種率は下がりがち。専門家は「しっかり免疫をつけるため、接種間隔をきちんと守り、2回目以降も忘れずに受けてほしい」と呼びかけている。(平沢裕子)
9割切る自治体も
国内では年間200~500人程度の患者が報告される麻疹(ましん)。世界保健機関(WHO)は先月、日本が「排除状態」にあると認定した。国内に由来する麻疹ウイルスによる感染が3年間、確認されなかったためだ。ただ、海外から持ち込まれたウイルスによる患者の報告は依然として続いており、予防接種が必要なことに変わりはない。
麻疹と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)が予防接種法に基づく定期接種の対象となっており、1歳時の1回と小学校入学前の1年間に1回の計2回接種する必要がある。
厚生労働省によると、平成25年度の麻疹ワクチン(MRと麻疹単体ワクチン)の接種率は、1回目が95・5%で2回目は93・0%。1回目の接種率は全ての自治体で9割を超えたが、2回目は鹿児島(88・5%)、沖縄(88・9%)、東京(89・7%)など9割を切る自治体もあった。
川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「麻疹は合併症を起こしやすく、脳炎や肺炎で亡くなる場合もある怖い病気。1回の接種では免疫(抗体)がつかない人や、1回ついた免疫が低下する人もいるので、必ず2回接種してほしい」と指摘する。
薄れる関心
破傷風は、けがの傷口などから破傷風菌が体内に侵入して感染、呼吸困難や痙攣(けいれん)などを起こし、死に至ることもある。破傷風菌は土の中にいて、小さな傷からでも入り込む。幼児期のワクチンが定期接種となり、子供の感染はほとんどなくなったが、高齢者が発症することがある。
国立感染症研究所によると、東日本大震災では、子供の時に破傷風のワクチンがなかった56~82歳の10人が、震災で負ったけがが原因で破傷風に感染した。破傷風のワクチンは、ジフテリア、百日ぜき、ポリオとの混合ワクチン(4種混合)を乳幼児期に4回と、ジフテリアとの混合ワクチン(2種混合)を11~12歳の間に1回の計5回が定期接種となっている。
大人になっても十分な免疫を維持するため、2種混合の接種は大事だが、24年度の接種率は75・7%と8割を切る。厚労省は「4種混合で接種する乳幼児期から期間が空き、保護者の関心が薄れることなどが原因」としており、接種率を上げることが課題となっている。
昨年10月から定期接種の対象となった水痘ワクチンは、1回の接種では免疫が十分につかない。症状は軽いものの20~50%が発症する。しっかりと免疫をつけるためには、1回目から3~6カ月の間隔を開けて2回目を接種することが大切だ。
予防接種の接種間隔は、免疫がつきやすい時期などを考慮して決められている。長崎大病院小児科の森内浩幸教授は「接種率が低下すると、治まっていた病気の流行が新たに起こる可能性もある。予防効果を確実にするために、定められた接種回数を守ってほしい」と話している。
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