「ありのままで…」面接では自分に正直に 企業に合わせる必要なし

 

 【Q】面接では、企業が求める人物像に合わせて、ふるまうべきでしょうか

 【A】自分のありのままを出し切ろう

 学生の皆さんから面接の時期直前に多く寄せられるのが、「企業の求める人物像に合わせてふるまうべきか」という質問です。

 「どうしても、この企業で働きたい」という思いが強い学生ほど、こうした悩みを持つケースが多く、企業研究を一生懸命している分、企業の求める要件に自分を合わせてしまう場合が少なくありません。今回はある先輩男子学生の体験談を紹介したいと思います。

 私立大学に通っていたYさんは、放送局で将来働きたいと、1年生のときから各局のインターンシップに参加をしたり、地元の放送局で学生アルバイトをしたりするなど、精力的に活動していました。日々の仕事を経験する中で、「社会におもしろいことを発信したい」という気持ちが強くなっていきました。3年生のときにはイギリスへの留学を経験。現地の放送局に企画を持ち込み、日本の文化や音楽を配信。視聴者からの評判もよく、「日本の文化を世界に伝えたい」という思いが芽生えました。

 3年生の秋に帰国し、就職活動を開始。OB・OG訪問では20人以上と会い、「志望先の放送局が置かれている状況」や「会社の目指す方向性」「働いている人のやりがい」などの情報を収集しました。

 これまでの経験や志望企業への思いを応募書類に込めて提出。順調に役員面接にたどり着きましたが、そこでの受け答えが、後悔につながることになります。

 自分の思いは、「日本の文化を世界にもっと発信したい」でした。しかし、事前の企業研究から、自分のやりたいことは、志望企業やOBが現在取り組んでいる、国内のコンテンツ企画とはかけ離れていると判断してしまったのです。「放送局の現状のプログラム枠で考えられることを話そう」と、自分の思いとは反した回答をしたのです。

 そのときの企業役員からの投げかけは、「君がやりたいことは、本当にそれなの?」という言葉でした。「入社したい」という思いが先行し、自分の思いを隠したまま話した結果、落ちてしまいました。

 後日、Yさんは役員が投げかけた言葉の意味に気が付きました。それから先の就職活動では、正直な気持ちで面接に臨み、みごと内定を獲得。業界は違えど、企画職に就き、当初の思いを実現できました。

 就職みらい研究所の調査に寄せられた就活生の皆さんへの先輩からのアドバイスは、「後悔しないように自分に正直に」「内定がゴールではなく、入社後にいきいきと働けるかを考えて活動を」という声でした。

 平成28年卒の就職活動もいよいよ佳境に入りますが、体調には気を付け、自分の思いを存分にぶつけてほしいと思います。(リクルートキャリア『就職みらい研究所』研究員 岩元洋介)

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