“爆見”なぜこんなところに行列が? 定番だけでは飽きたらぬ訪日客

 
江戸時代の町家を再現したゾーンを、浴衣姿などで楽しむ外国人観光客ら=7月31日、大阪市北区の大阪くらしの今昔館(村本聡撮影)

 急増する訪日外国人客が「ミュージアム」にも押し寄せている。有名美術館だけでなく、「地震」や「くらし」などをテーマにした、いわゆる“学ぶ”博物館にも外国人が殺到。開館前に長い行列ができるなど、“爆見”の様相を見せている。(横山由紀子)

 なぜここに行列が? 飛び交う中国語、韓国語、英語…

 江戸時代の大阪の町家を再現し、住まいの歴史や文化を紹介する「大阪くらしの今昔館」(大阪市北区)。7月末の午前9時45分。開館前のゲートには、100人ほどの行列ができていた。飛び交うのは、韓国語や中国語、英語…。行列のほとんどが外国人だ。

 午前10時の開館と同時に、外国人客が急ぎ足で向かうのは、「着物体験コーナー」。200円で30分間の着物体験ができるとあって、整理券を求めて、再び行列に並ぶのだ。

 韓国から夫(40)と長男(7)とやってきたグ・ヒョンジュさん(37)は、「開館前から並ばないと、着付けに何時間も待つことになると、ネットで見たので、早起きしてきました」と話す。着付けの順番になると、グさんは紺地に花柄の浴衣を着付けてもらい、鏡を見て「初めてなのでうれしい」と満足そうな様子。そのまま家族とともに、館内を歩いて楽しんだ。

 SNSで火 3分の1が外国人観光客

 同館は平成13年に開館。22年度から着付けサービスを始めたところ来館者数が増加。海外のブログやツイッターなどで話題になり、24年ごろからは外国人の姿が目立ち始め、昨年度は約35万人の来館者のうち約3分の1が外国人客だった。

 そのほとんどが個人旅行者。フェイスブックやツイッターなどSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)で、人気に火がついたという。同館の西明子さんは、「着物を来て江戸時代にタイムトリップできると人気のようです。それにしても、ここまで外国人に受け入れられるとは」と驚いた様子で話した。夏休みが終わり、9月に入ると賑わいは一段落したが、「10月の観光シーズンでまた外国人が増えるのでは」と予想している。

 雑誌に載ったらもう古い? 常にネットで新情報探す

 阪神大震災の経験と教訓を伝える「人と防災未来センター」(神戸市中央区)にも、数年前から外国人客が目立つようになった。

 特に多いのが、ベトナムからの旅行者。一昨年度は4794人、昨年度は7441人が訪れ、外国人団体客の中で一番多く4割近くを占めている。地震を映像と音、振動で体験できるコーナーが特に人気だという。

 「ベトナムは地震の少ない国と聞いています。だからこそ、地震がどういうものか興味津々のようです」と担当者は話す。

 インバウンド(訪日外国人観光)に力を入れている大阪観光局企画メディア担当、松本朝充さんは、訪日観光客はリピーターが多く、「定番のゴールデンルートの旅では飽き足らなくなってきている」と話す。

 「誰も行っていない所へ」と、常に新しい情報をネットで探しており、「雑誌に載っている時点で、そこはもう遅いという感覚かも」。日本人にとっては意外なスポットも、外国人には人気が高いという。