“試練の交渉”電機連合の格差拡大 東芝離脱なら歴史上初の事態に
電機連合が29日に月額3000円以上の統一要求を決定、大手企業の春闘交渉が本格化する。電機の労使交渉は、主要各社の経営側から同じ水準の回答を引き出す「統一闘争」が特徴だが、早期に構造改革を進めた日立製作所などと、経営再建中の東芝、シャープの業績格差は大きく開いている。
特に、交渉を主導する6社の一角を占める東芝が離脱すれば、60年以上となる電機の統一闘争の歴史で初めての事態だ。金融市場の混乱で、経営側は世界経済の先行きに警戒感を強めており、組合側にとって過去2年より厳しい“試練”の交渉となりそうだ。
「いずれ『難しい判断』がくるかもしれない」
電機連合の有野正治中央執行委員長は28日、東芝の労組が初めて、シャープの労組が4年連続で統一闘争を離脱する可能性について懸念を示した。
電機連合では、現在13社の労組による中央闘争委員会(中闘)が中核となっている。
なかでも日立やパナソニック、東芝など6社の労組が交渉を主導する立場。有野委員長は「企業の存亡に関わるような事態でなければ(離脱は)あり得ない」と話すが、東芝は約1万人の人員削減に踏み切り、自己資本比率も10%以下の“危険水域”に沈むなど、財務が急速に悪化。同社首脳は今春闘での賃上げについて「極めて困難」との認識を示している。
ベアをめぐる認識の隔たりも大きい。過去2年の賃上げがコスト増につながっているほか、金融市場の混乱で経営側は「特に中国リスクに不安感を持っている」(有野委員長)。リーマン・ショック後の金融危機のような事態に備え、手元資金を確保しておきたい経営側と、ベアにこだわる組合側の交渉は激しくなりそうだ。
関連記事