中小賃上げ、強い不透明感 世界経済の変調で経営側警戒
過去2年の春闘で大企業と中堅・中小企業の賃上げ水準の差が広がっており、「(賃金の)底上げと格差是正」が中小企業2016年春闘の最大の課題となっている。人材確保が困難な状況で、人手不足対策といった観点からも賃上げの広がる可能性に期待が集まるが、年明けからの世界経済の変調で、こうした機運がしぼみかねない情勢だ。
「過去2年と同様、(基本給を引き上げる)ベースアップを実施する」。金属加工を行うマテリアル(東京都大田区)の細貝淳一社長は力強く語る。同社はアベノミクスの経済政策による補助金や税制面を活用し、仕事全体の20%の省力化を実現した。そのコスト低減分の一部を人件費に充てることで、社員のモチベーション維持を図るのが目的だ。かばん製造の協和(東京都千代田区)も同様の理由で、11年連続のベアに踏み切る。
ところが、多くの中小・零細企業は、ベア実現のための十分な収益を確保できていないのが現状だ。各社とも「従業員の士気を落とさないためにも、賃上げを実施したい」との認識では一致しているが、「国内の自動車販売が思ったほど伸びていない」(都内の自動車用機器部品メーカー)、「取引先からの値下げ圧力が依然として強い」(都内の素材メーカー)という先行き不安を理由にベアを見送るケースも目立つ。
消費の本格回復には、働き手の約7割を占める中小企業にまで賃上げを波及させることが欠かせない。しかし、中国をはじめ海外経済の減速懸念が高まり経営側の心理が急速に悪化している点を踏まえると、中小企業の賃上げをめぐる動きは、一段と不透明感が強まりそうだ。
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