「現代における紫外線の脅威とその最新対策」セミナー
■外からと体の内側からの“ダブルケア”が大事
食品による紫外線対策の可能性をテーマにした「現代における紫外線の脅威とその最新対策」セミナーが、4月14日に東京都港区のグランドハイアット東京で開かれた。紫外線による「光老化」の驚異と予防の必要性について、東京女子医科大学皮膚科教授の川島眞氏が解説。コラーゲンペプチドおよびミルクセラミド入りヨーグルト摂取による紫外線対策について、再生未来クリニック神戸院長の市橋正光氏が研究成果を報告した。
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□東京女子医科大学皮膚科 教授・川島眞氏
■皮膚がんの原因にもなる「光老化」
過ごしやすい季節になり、レジャーやスポーツなど、屋外に出る機会も多いこの季節、紫外線は真夏の7、8月と変わらないレベルの高い量に達しているという。東京女子医科大学皮膚科教授の川島眞氏は、太陽光に含まれる赤外線や紫外線がもたらす皮膚への影響を解説し、しみやしわ、たるみ、皮膚がんの原因にもなる「光老化」の驚異について解説した。
川島氏らが推進する「光老化啓発プロジェクト」が実施したアンケートによると、サンスクリーン効果を有する化粧品を日常的に使用しているのは女性でも24.4%に過ぎず、男性に至っては70.5%が日焼け止めを全く使用しないという結果が出ている。「光老化に対する意識を高め、SPF15以上、PA1+以上のサンスクリーン効果がある化粧品を日常的に継続使用することを推進していきたい」と、意識改革の必要性を強調する。
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□再生未来クリニック神戸 院長・市橋正光氏
■年齢とともに肌の修復機能が低下
一方、外からの予防だけでなく、入ってくる光を体内で減らす方法にも注目しているという。
川島氏とともに光老化研究の第一人者である再生未来クリニック神戸院長の市橋正光氏は、紫外線が肌にダメージを与えるメカニズムを解説した。紫外線は、皮膚細胞のDNAを大きく損傷する。日焼けで皮膚が赤くなるのは、炎症(紅斑反応)が生じた結果であり、シミや皮膚がんへの第一歩となる最初の危険信号であるという。また、幼少期から青年期までの紫外線障害は肌に蓄積され、さらに大人になってから蓄積された紫外線障害が一定量を超えると、光老化や皮膚障害を発症。年齢とともに肌の修復機能も低下することからシミやシワ、皮膚がんの発症率も高まるリスクがある。必要以上に紫外線を浴びず、紫外線障害を肌に蓄積させないことが大切だという。
紫外線対策には、日傘やサングラス、UVクリームなど、外側からのケアが一般的には知られているが、市橋氏は、体の内部からの対策を含めたダブルケアの可能性に着目。臨床研究「コラーゲンペプチドおよびミルクセラミド入りヨーグルトの長期連用による皮膚ダメージ抑制効果の予備検討」の成果を発表した。
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■コラーゲンペプチド及びミルクセラミド入りヨーグルトで肌の赤みや色素沈着を抑制
「20年ほど前から、コラーゲンを飲むと皮膚が若返るというような報告はあったが、サイエンスとして証明されたデータがあまりなかった。それから徐々に、飲んだコラーゲンが代謝されてペプチドになり、それが細胞を刺激して老化現象や炎症を抑えることが分かってきた。コラーゲンだけでなく、皮膚の保湿成分として重要なセラミドも含んだ食品であるという点にも注目し、研究を始めた」と、着目した背景について市橋氏は語る。
臨床試験では、コラーゲンペプチドおよびミルクセラミド入りヨーグルトのドリンクタイプを、4週間にわたって摂取した場合と非摂取群に分けて検証。その結果、摂取群は非摂取群と比較し、紫外線照射後の皮膚の赤み(紅斑)や色素沈着が抑制されるという結果を導き出した。
また、紫外線を浴びた24時間後に皮膚に紅斑を生じる最小限の紫外線照射量(MED)の測定においても、紫外線に対する抵抗性が摂取前よりも強化されたことが示された。市橋氏は、「ヨーグルトは身近な食品で継続しやすいという点も優れている」と、日常への取り入れやすさも評価した。
紫外線の脅威から身を守るためには、まずは、日焼け止めや帽子などの対策で紫外線を必要以上に浴びない、外からの対策を習慣にすること。同時に、毎日の食事に紫外線ダメージ抑制効果が望める食品を上手に取り入れる“ダブルケア”が、光老化の予防として期待される。
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■ビーチバレー選手の紫外線対策 コラーゲンペプチド及びミルクセラミド入りヨーグルトを毎朝の習慣に
会場では講演後、紫外線の多い浜辺で行われるビーチバレーボールの選手である菅山かおるさん、坂口佳穂さんを交えてトークセッションが行われた。
「普段は日焼け止めをこまめに塗り直すなど気を付けています。紫外線対策は幼少期から重要とわかったので、子供のケアも気を付けないといけないと思いました。ヨーグルトは手軽なので、子供と一緒に毎朝の習慣にしたいです」と菅山さん。
健康的な小麦色の肌に日焼けした坂口さんは、「日焼けしやすい肌質なのですが、今まであまりケアしていませんでした。最近は少しシミも増えてきたので、先々のことも考えて外側と内側からしっかりケアしていきたいと思います」と語った。
数十年先の肌に影響する紫外線対策。日常のちょっとした習慣から始めたいものだ。
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