救急車「不搬送」が全国で突出する大阪市 「ゴキブリこわい」で呼び出すことも
119番などによって救急隊が出動したものの、本人が拒否するなどして搬送を行わない「不搬送」が、大阪市消防局の救急搬送の2割を占めている。年々増加傾向にあり、東京都(13・1%)や横浜市(13・4%)といった他の政令市と比べても、大阪市の割合は突出して多いという。なかには「ゴキブリをみて不安になった(気分不良)」「寝込んだ客が起きない」といった理由で、救急を呼び、不搬送になったケースもあった。
全国でも大阪市が突出
なぜ大阪市で不搬送が多いのか、市消防局も「理由は分からない」としている。担当者は「不必要な出動があれば、重症な人がいる現場への到着が遅れるケースもある。正しい運用を訴えていくしかない」としている。
市消防局によると、昨年1年間に救急隊の出動件数は22万131件。うち20・6%にあたる4万5286件が「不搬送」だった。
うち、救急隊が現場に到着したのに、本人が搬送を拒否したケースが過半数の2万4724件。結局、傷病者がいなかったケースが3515件-などだった。一方、110番などで問題となる「いたずら」や誤報はわずか1325件で、全体の0・6%にすぎない。
不搬送は年々増加傾向で、ここ3年は20~21%程度で推移。他の政令市(25年)をみると、神戸市の17・1%を除くと、15%以下にとどまっており、平均12・7%。大阪市の割合は突出している。
到着すると「もういい」
どうして、119番の通報をしているのに、不搬送になるのだろうか。搬送を拒否したケースの記録をみると、安易な通報例もうかがえる。
飲食店の従業員と思われる通報者は「1時間ほど前に来店した客が、注文をせずに寝込んでしまった。起こそうと呼びかけたが起きない」と救急要請。また、別の店舗の従業員が「仕事中にゴキブリをみて驚き、不安になった」と救急車を呼んだ例もあった。
ある救急担当者は「『母親がベッドから落ちた』と要請があり、救急隊がかけつけてベッドに助けあげたら、『もういいわ』と言われ、帰ったこともある」と苦笑いする。
担当者は「本人以外が通報する場合もあり、かけつけて重症とわかる場合もある。そもそも要請されれば救急隊は出場するので、『呼ばないで』と言うつもりはない」と強調したうえで「救急車を呼んだ方がいいかどうか本人に確認するなど、できるだけのことをしてほしい」と話す。
#7119を利用して
救急出動件数全体も増加傾向にあり、所有する救急車の台数では、対応しきれないとして、大阪市は平成18、19年に救急隊を10隊増設しているが、それでも21年から出動件数は右肩上がりで、過去最高を更新し続けている。昨年は2・4分に1回のペースで救急車が出場している計算だ。
「搬送拒否」をしたケースでは、入電から消防署に戻るまでに2時間以上かかったケースが162件もあったことも判明。不搬送の事例が、救急活動に及ぼす影響は小さくない。
大阪市をはじめ、府内の市町村では、電話窓口「救急安心センターおおさか」(電話#7119)で、病院に行った方が良いのか、救急車を呼んだ方が良いか、といったことを看護師らに相談できる窓口を設置している。
大阪市の救急担当者は「どうしたら良いのか分からない場合は、#7119を活用してほしい」と話している。
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