(4-1)若い世代から高齢者まで患者数は増加

認知症予防最前線
認知症予防の運動に取り組む高齢者たち。2025年には700万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると試算されている

 「団塊の世代」が75歳を迎える2025年。特に認知症患者も増加するため、医療や介護の必要性が現在よりも急増することが予測される。介護事情や社会保障制度の現状についてまとめ、さらには今からできる認知症予防対策について専門家に聞いた。

                  ◇

 厚生労働省が発表した調査によると、65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人数は2012年時点で462万人。これは65歳以上の高齢者の15%であり、高齢者の約7人に1人の割合にあたる。2025年には700万人を超え、65歳以上の高齢者のうち約5人に1人が認知症を発症することになる。

 また厚生労働省による2010年「認知症高齢者の現状」によると、軽度認知障害の患者数は推計値で約400万人である。軽度認知障害とは、今は認知症ではないが放置すれば認知症になる可能性が高い状態のことをいう。認知症患者とあわせるとその数は862万人となる。認知症患者は高齢者だけとは限らず、働き盛りの若い世代に発症することもあるため、今後も認知症の人は増加することが予測される。

 ◆介護費用は400万円超

 高齢者の介護は、在宅、施設入所、遠距離介護など、ケースによってさまざまな介護費用が発生する。在宅介護の場合、必要なお金は大きく分けて二つある。一つは、訪問ヘルパーやデイサービスなど公的介護保険の介護サービスの利用費、もう一つは医療費やオムツ代など介護サービス以外の費用である。

 家計経済研究所の「在宅介護のお金とくらしについての調査」によると、介護サービスの利用費は月3万7000円、介護サービス以外の費用は月3万2000円。これらを合わせた在宅介護に必要な費用は、月6万9000円かかることが明らかになった。また要介護度が上がるにつれ、介護サービスの利用料が増えるため、支出額が上がることもわかった。

 さらに介護にかかる期間は、決して短いものではない。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」によると、過去3年間に介護の経験がある人に対して、どのぐらいの期間介護を行ったのかを調査したところ、介護の期間は平均で4年11カ月であった。毎月発生する介護費用と介護期間をかけあわせると、400万円を超える介護費用が必要になることが予想される。

 ◆保険料の上昇さらに続く

 2000年からはじまった介護保険。利用者の増加とともに、介護保険料も年々増加している。厚生労働省老健局が発表した「介護給付と保険料の推移」によると、介護保険の制度ができた当初の保険料は全国平均で2911円だったが、現在は5514円と2倍近くになっている。団塊世代が75歳以上になる2025年には、さらに8165円にまで膨れ上がる見込みだ。

 介護保険の総費用も、2000年には3.6兆円だったが、2014年度からは10兆円を超える状態が続く。今後も75歳以上の要介護者は増えるため、介護保険の総費用は、さらに急増する。

 ◆高齢運転者の交通事故増

 交通事故の総発生件数は年々減少する傾向だが、高齢ドライバーによる交通事故件数は増加の傾向が続く。

 警視庁交通総務課統計「高齢運転者が関与した交通事故発生状況」によると、65歳以上の高齢ドライバーによる交通事故の割合は年々増加し続け、2014年は総件数の2割であり、10年前の約1.9倍となっている。一方、東京都内の交通事故の総件数そのものは減少し続けており、14年は3万7000件ほどで、10年前の半数以下になっている。

 こうした高齢ドライバーの事故を防ぐため、認知症の高齢ドライバーへの対策を強化する改正道路交通法施行令が、来年3月から施行される。逆走や信号無視といった認知機能と結びつきがある18項目で交通違反をした75歳以上のドライバーに、臨時の認知機能検査を行うものとなる。